有害ミネラル

カドミウム
カドミウムは、地殻に約0.1mg/kgの濃度で分布しています。人々が利用する亜鉛、銅、鉛の鉱床には高濃度のカドミウムが共存していて、これらの鉱物を採掘、精錬するときの副産物として得られます。カドミウムの産出量は、亜鉛(Zn)の産出量と密接に関連しており、1920年以降増加してきたといわれています。
カドミウム汚染のおもな発生源は亜鉛、銅などの金属の採掘、精錬にともない産出されるカドミウムを含んだ廃棄物であるといわれています。空気中に放出されたカドミウムは、水中、土壌に堆積し、食物などを通して人に蓄積します。カドミウムは主に、鉄材の防錆のためのメッキ、塩化ビニルの安定剤、プラスチック製品やガラスの顔料、電池、鉛及び錫などとの合金の原料として用いられています。

カドミウムの汚染経路としては、消化管、呼吸器があり、呼吸器から吸収されたカドミウムの5~20%は肺に沈着し、そのうちの50~100%が血液中に吸収されるといわれています。経口摂取されたカドミウムは、大半が消化管から糞便中に排泄されます。残りは血液に吸収され血漿中でメタロチオネインと言う金属と特異的に結合するタンパクと結合し、各臓器に運ばれ、肝臓や腎臓に蓄積するといわれています。

ほとんどの食品に環境由来のカドミウムが多少なりとも含まれています。過去には「イタイイタイ病」の発生を契機に、一般環境でのカドミウム曝露に関する疫学調査が数多く実施されたといわれています。我が国のお米中のカドミウム濃度は、他国に比べて高い傾向にあり、さらに日本人はお米を主食としているので、お米からのカドミウム摂取量が、食品全体の約半分を占めており、このことを考慮して食品衛生法でお米のカドミウム量が規制されています。
現在、食生活の欧米化により、お米の摂取量が1960年代に比べ半減しているという状況で、一般的な日本人における食品からのカドミウム汚染が健康に悪影響を及ぼす可能性は低いと考えられています。
水銀
水銀の環境への排出は、天然の産出源として地殻からの火山ガスの噴出、火山活動などが考えられますが、人間の生産活動、化石燃料の燃焼、金属硫化鉱石の精錬、金など貴金属元素の精錬、セメントの生産及び廃物の焼却による環境への排出もあるといわれています。
水銀は、金属と混和しやすい性質があり、アマルガムと呼ばれる液状の合金を生成します。この性質を利用したのが、歯の充填に用いられる歯科用水銀アマルガムで、合金粉末(銀・錫・銅・亜鉛)と1:1に混合されるので大量の水銀を含有していました。現在では水銀アマルガムは使用されておりませんが、過去にアマルガムを使用した場合の水銀の溶出が問題となる場合があります。また、現在でも体温計、蛍光灯、水銀灯の発光体や朱肉に用いられています。

一般の人の水銀の汚染は、主として食事によるものと考えられ、まれに水銀体温計の破損による金属水銀汚染や蛍光灯の破損による無機水銀汚染もあるといわれています。
海水、湖水に熔け込んだ無機水銀は、微生物の作用でメチル化され、メチル水銀などの有機水銀に変化し、プランクトンがこれらの微生物を捕食してさらに小型の魚類、大型の魚類やイルカなどの哺乳類に至る食物連鎖の中で濃縮され、最終的に人に蓄積すると考えられています。水銀及びその化合物は、その形態によって毒性が異なり、脳に蓄積しやすく、神経障害を起こす恐れがあるといわれ、またメチル水銀などの有機水銀化合物は、無機水銀化合物に比べて毒性が強いとされます。メチル水銀は神経細胞中のタンパク質の構造を変えることによって、神経細胞を変性、壊死させると考えられています。
経口摂取されたメチル水銀(有機水銀)は、消化管から95~100%が吸収されます。その他、蒸気となったメチル水銀は、80%が肺から吸収されるといわれています。
吸収された後のメチル水銀は、SH基に対する親和性が高いため、システインやグルタチオンのようなイオウ(S)を含有するアミノ酸に結合すると考えられています。システイン-メチル水銀複合体は生体の中性アミノ酸輸送系によって血液-脳関門を越えて脳に輸送されます。このことが、強い中枢神経系への毒性を示す理由の一つと考えられています。

昭和48年に厚生省は、水銀についての魚介類の暫定的規制値を総水銀が0.4ppmを超えない濃度、メチル水銀が0.3ppmを超えない濃度と規制いたしました。ただし、マグロ類(マグロ、カジキ及びカツオ)、深海性魚介類など(メヌケ類、キンメダイ、ギンダラ、ベニズワイガニ、エッチュウバイガイ及びサメ類)及び河川産魚介類(湖沼産の魚介類を含まない)については、これらの魚種が集中的に食される魚種ではない、大量の流通魚ではない、含有している水銀は天然に由来するものである、摂取量の実態からみて健康被害を生ずるおそれはないものと考えられたことなどにより適用外となっています。
その後、平成13年、14年に魚介類に含まれる水銀の含有量調査が行われた結果と、現在の魚介類の摂取状況などをふまえて、「妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項」として下記の目安が設定されました。

「妊婦への魚介類の摂取と水銀に関する注意事項」

クジラやイルカを含めた摂取量の目安が規制されていますが、日常的に食用としている大型魚介類のみ記載しました。

摂取量(筋肉)の目安 摂取する魚介類の種類
1回80gとして妊婦さんは週に1回まで キンメダイ、メカジキ、クロマグロ、メバチマグロ
1回80gとして妊婦さんは週に2回まで キダイ、マカジキ、ユメカサゴ、ミナミマグロ
  • マグロの中でも、キハダ、ビンナガ、メジマグロ(クロマグロの幼魚)、ツナ缶は通常の摂食で差し支えありませんので、バランス良く摂食してください。
  • 魚介類の消費形態ごとの一般的な重量は、寿司、刺身一貫または一切れ当たり15g程度、刺身一人前当たり80g程度、切り身一切れ当たり80g程度を目安としてください。
鉛は、地殻の表層部には重量比で0.0015%程度存在し、36番目に多い元素です。鉄に比べて1.4倍重い元素で、青みを帯びた白色または銀灰色の光沢をもつ金属で、空気にふれると酸化されて鉛色に変色します。比較的柔らかく、加工が容易なため、古代から人類と深く関わってきた金属で、現在も鉛はその化合物とともに多方面で利用されています。鉛は、主にバッテリー(蓄電池)やはんだの原料として使われています。

人は日常生活において、環境中に広く存在する鉛に絶えず曝露されています。食品中には1gあたり約0.2gの鉛が含まれており、職業的あるいは特殊な鉛曝露がない通常の人では、食物と水から1日約0.3mg、大気から経気道的に約0.03mgの計0.33mgの鉛を摂取しているといわれています。
鉛は、人体への蓄積性があることから、消化管からの吸収率が高く、最も感受性が高い乳児の代謝研究結果から「耐容一日摂取量(TDI)」が、体重1kg当たり0.0035mgと算出され、これに基づいて水道水質基準や水質環境基準が設定されています。鉛の化合物によって毒性は異なりますが、高濃度の鉛による中毒の症状としては、「食欲不振」、「貧血」、「尿量減少」及び「筋肉の虚弱」などがあるといわれています。
経口摂取された鉛は成人ではそのうちの約10%、小児では約40~50%が消化管から吸収され、カルシウムや鉄の摂取量が少ないと鉛の吸収が促進されるといわれています。カルシウムは鉛と競合して消化管における共通の輸送機構を利用するため、カルシウムが鉛の吸収を抑制するといわれています。また、経気道的に吸入された鉛は約30%が吸収され、その8%弱が気管に沈着するといわれています。吸収された鉛は血液中に移行し、そのうちの大部分が赤血球のヘモグロビンに結合します。吸収された鉛は、最初肝臓や腎臓に分布しますが、最終的に体内に含まれる鉛の約90~95%が骨に蓄積し、一部の鉛が脳に蓄積するといわれています。鉛は腎臓から尿に含まれて排泄されますが、骨に蓄積された鉛は、その濃度が半分になるには約5年かかり、長く体内に残存するといわれています。

飲料水中の鉛は自然界から溶け込んだ鉛がわずかに存在することもありますが、その汚染源としては主として給水管に使用されている、鉛管、ハンダ、継手、銅合金の給水器具、その他鉛を含有している配管材料などからの溶出によるものが多いと考えられてきました。
我が国では、鉛管は管内に錆が発生せず、可とう性、柔軟性に富み、加工・修繕が容易であるという特性で、創設期から近年に至るまで、給水管用として使用されてきました。一方、近年鉛管からの鉛溶出が社会的な問題となってきたため、厚生労働省では1989年に「給水管に係る衛生対策について」を通知して、給水管からの鉛溶出について規制を行いました。現在は、水道法の水道水質基準で鉛の溶出許容量を管理していますが、平成17年の調査で、未だ11000kmを超える鉛配水管が残存している状況であるといわれています。
砒素
砒素は、金属光沢のあるもろい灰色の結晶で、二硫化砒素(花火の着火剤、塗料用の顔料)の原料として用いられたり、硬さを高めるために合金(銅など)に添加されるなどの用途があるといわれています。また、ガリウム、インジウム、アルミニウムとの化合物は、半導体の原料としてすぐれ、半導体レーザーや赤色の発光ダイオードの原料として利用されています。代表的な無機砒素化合物である三酸化砒素(以下、亜ひ酸)は、無味無臭の白色の粉末または結晶で、ガラスの製造過程で気泡を消したり脱色するために用いられたり、ガス脱硫剤、木材の防腐剤、砒素や他の砒素化合物の原料、歯科治療で歯の神経を抜く際に使われる「亜ひ酸パスタ」及びシロアリ駆除などに使用されています。

砒素は広く海洋生物に存在しその濃度は高く、これに対して、陸上の動植物に含有している砒素濃度は低いことが知られています。日常食している海産物から検出される砒素濃度は高い傾向にあり、海産物を海藻類と魚介類に大別し砒素濃度を比較すると両者はいずれも高いが、検出される主な砒素はそれぞれ異なり、海藻類は無機砒素とジメチル化砒素化合物などの有機砒素、そして魚介類は有機砒素が主体であるといわれています。
海産物に蓄積する砒素の作用機序に関して、砒素の共通する源は火山から排出された無機砒素で、それらが海水中に広く微量に溶けています。海藻類ではその表面から直接吸収して蓄積し、魚介類ではプランクトンが無機砒素を取込み体内でメチル化して有機砒素とします。
有機砒素は食物連鎖により大型の魚や甲殻類に摂取され、最終的に人に蓄積されますが、毒性は低いといわれています。無機砒素や砒素化合物を誤って大量に摂取してしまった場合に、急性の中毒症状としては、「めまい」、「頭痛」、「四肢の脱力」、「全身疼痛」、「麻痺」、「呼吸困難」、「胃腸障害」、「腎障害」、「末梢神経障害」などが報告されています。
体内に取込まれた砒素は、24時間以内に血液を介して肝臓、腎臓、肺、脾臓や小腸粘膜に多く分布し、酸化され、有機砒素化合物に変化して、主に尿から排泄されます。

海藻類に砒素が含まれていることは古くから知られていますが、ひじきは、他のこんぶやわかめに比べて無機砒素の含量が多いといわれています。海藻類は、カリウムなどの必須ミネラルをバランスよく含んでいますので、ひじきを食材として用いる場合は、「多めの水で乾燥ひじきはたっぷりの水で30分以上水戻ししてから調理する。」、「水戻しに使った水は、調理には使わない。」、「水戻しした後は、ボールに入れた水で2~3回洗い、よく水気を絞る。」、「茹でるときは水戻ししてから茹でる。」などを考慮して調理すれば無機砒素の影響がなくなるといわれています。(東京都福祉保健局 食品衛生の窓より引用)
ベリリウム
ベリリウムは、常温で灰白色の固体で、もろくて軽い金属です。エメラルドやアクアマリンなどの宝石の一種である緑柱石などの鉱物に含まれています。空気中では表面が酸化されて酸化皮膜ができるため腐食しにくく、また電気や熱の伝導性が高く、X線を透過しやすいなどの性質があるため、多方面の用途に使用されています。
ベリリウム自体は、音響用のスピーカーの振動板や光学ガラスに用いられるほか、航空・宇宙分野、原子力分野や医療用X線窓にも使用されますが、最終製品では他の金属との合金として使われることが多く、銅との合金がほとんどを占めています。ベリリウム銅合金は、電子機器用コネクター、ICソケット、スイッチ、パソコン部品や携帯電話部品などに使われています。なおベリリウムは化石燃料にも含まれているといわれています。

人がベリリウムを体内に取込む可能性があるのは呼吸によるか、また、可溶性ベリリウム化合物などが皮膚に触れることによっても、体内に取込まれる可能性あると考えられています。過去にはベリリウムを取扱う作業場や製造所などで「ベリリウム症」と呼ばれる肺疾患が発生したといわれています。
体内に取込まれたベリリウムは、動物実験では、主に糞便に含まれて排泄され、少量が尿に含まれて排泄されます。経口摂取されたベリリウムは、消化管で不溶性のリン酸塩として沈殿するため、ほとんど吸収されないといわれています。

ベリリウムは、化石燃料、特に石炭に1.8~2.2mg/kg含まれており、火力発電所や製錬所などの石炭の燃焼により大気中に排出されているといわれています。一方、ベリリウムイオンのイオン半径がケイ素イオンに近いため、ケイ素と置換して造岩鉱物に多く含まれるといわれています。ベリリウムは、花崗岩、玄武岩、砂、土壌にも含まれており、極微量のベリリウムを塵埃として吸い込む可能性を考慮して大気汚染防止法で有害大気汚染物質として規制されています。
アルミニウム
アルミニウムは銀白色の柔らかい軽金属で、展性、延性に富んでいて熱と電気の良導体であるといわれています。空気中では酸化物の被膜を生成し、内部は酸化されない性質があります。アルミニウムは銅と並ぶ最も用途の広い非鉄金属で、建築材料、日用品などに広く使用されています。また、アルミニウム箔は金属箔のうちで最も使用量が多いといわれています。アルミニウムの表面を酸化被膜処理することにより耐食性を向上させたものが「アルマイト」と呼ばれています。銅、マンガン、ケイ素などを加えたアルミニウム合金が航空機、送電線、自動車などに使用されています。
その他、アルミニウムは食品や医薬品の包装、飲料缶に使われる他、医薬品や食品添加物の成分として含まれています。

人は飲食物、水、空気を介してアルミニウムを摂取しています。その中で最大の摂取源は食品で、アルミニウムを比較的多く含む食品としては、海藻、貝類、葉菜類があります。しかし、例えば「ひじき」は高濃度のアルミニウムを含んでいますが、食物繊維に結合しているため、あまり吸収されないといわれています。
これまでのところアルミニウムの必須性については証明されていないので、欠乏による健康障害は報告されておりません。一方で、過剰のアルミニウム摂取に起因する障害が報告されていますので、腎機能に障害がある人や、排泄機能が完成していない乳児では、体内にアルミニウムが蓄積する傾向があるので、摂取には注意が必要だといわれています。
最近では否定的な報告が多いといわれておりますが、アルツハイマー病とアルミニウムの関連が注目され、広範な研究が行われてきました。1997年にWHOが刊行した環境保健クライテリアNo.194の中では、アルツハイマー病とアルミニウムを関係づける証拠は無いと結論されているといわれています。
経口摂取されたアルミニウムの99%はそのまま排泄され、残りの1%は消化管を通して吸収された後、主に腎臓を通って尿中に排泄されます。体内には約40mgのアルミニウムが主に肺と骨に存在し、血液や脳にもわずかに存在するといわれています。加齢とともに体内のアルミニウム蓄積量は増加するといわれています。




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